山元麺蔵の「想い」
僕がうどん屋を志したのは今から数年前。当時僕が所属していた企業のクラブチームが活動中止となり、何か自分で商売をしたいと思ったのがきっかけでした。それまでの人生は常に集団の中にいたので、会社を辞め一人で行動し出した時には多少の戸惑いはあったのですが・・。
「なんでうどん屋?」とよく聞かれましたが実際のところ何でかな?
もともとこの土地は、僕のばあちゃんの家で、五○年程前にばあちゃんがうどん屋を営んでいた土地でした。じいちゃんが早くに他界した為、そのうどん屋で7人の子供を養っていたんだというから、すごいなと関心する。
幼い頃、ばあちゃんに特に可愛がってもらってたからうどん屋に導かれるような話も聞いていたのかもしれない。
さて、どんなうどん屋にしようか。いろんな店を食べ歩き自分が感じたこと、感動し、共感した事、それをいざ自分の店として表現するのが難しくて。
一人で食べ歩きの旅にでて、沢山のうどん、そばを食べた。そろそろ飽きてきて親戚のおばさんの手作りの弁当を手に家に帰ろうとした帰路の途中、晴天の富士山を見ながらにぎり飯を食べたのですが、その美味しさが忘れられなかった。特別うまい米で出来てた訳じゃない、特別うまい具が入っていた訳でもない、普通のにぎり飯。だけど最高にうまかった。
その体験をした時にちょっとずつ店のイメージが湧いてきて。
僕がいつも感動し、共感する店の共通点、打ちたて茹でたてのうどん、鰹でしっかりとった天然だし、ホクホクご飯、新鮮な食材、店内であふれる笑顔、挨拶、有難うの言葉、その全てに”心”が入っていて、その店内にはあの時の”晴天の富士山”がある。実家に帰り食うおふくろの飯がうまい理由、田舎のばあちゃんの懐かしいごはんの思い出、食事の一番大切なものがそこにあるんじゃないかと思う。
自分がどこまで出来るかわからないが、感謝の気持ちとうどんに対する情熱、またその”大切なもの”を忘れず、皆様に喜んで頂けるよう日々努力していきたいと思います。